山形あのね

MAGAZINE

幻と言われていた庄内の野菜…!?
「外内島きゅうり」を食べてみる!

山形ガチャ倶楽部のこばやしはるです!
庄内で昔から作られてきた野菜、「外内島(とのじま)きゅうり」をご存知ですか?普通のきゅうりよりもずんぐりした形、薄い緑色、パリッとした皮、みずみずしい食感、独特な苦味…。庄内でしか食べられないレア食材なんだとか。そんな「外内島きゅうり」の魅力と味に迫るべく、鶴岡のイタリアンレストラン、「アル・ケッチァーノ」さんにお邪魔してきました!

アル・ケッチァーノの料理長とマネージャーに聞く!庄内の在来作物って?

取材にご協力いただいたのは、在来作物や魚介など、庄内の旬の食材を用いたメニューが魅力のイタリアンレストラン「アル・ケッチァーノ」さん。生産者の想いを大切に、食材の良さを生かしたお料理を提供されています。
庄内地域には、だだちゃ豆や藤沢かぶ、庄内柿など伝統的に育てられてきた「在来作物」がたくさんあり、それらは生きた文化財とも言われています。今回のインタビューではマネージャーの齋藤 善功さんと料理長の正野 岳志さんに、実際料理に使われる “在来作物” や “外内島きゅうり” について伺いました。

ーーそもそも、庄内にはどうして在来作物が多いんでしょうか?
昔、平家と源氏の戦いの後、庄内に平家が逃げてきた際、仲間に自分たちが通った道を伝えるために作物の種を蒔きながら歩いてきたそうです。庄内は昔、天皇の荘園だったためにその後攻められることもなかったそうですよ。そのおかげで、平家が蒔いた作物の種はずっと庄内に残っているんだそうです。

ーー庄内と言ったら食のイメージが強いですが、そんな昔から由来があるんですね!?
そうなんですよ。実は外内島きゅうりには、弘法大師が出羽三山に向かう途中で喉を潤したとのさらに昔の言い伝えが残っているんですよ。
  
ーー弘法大師って平安時代あたりの人ですよね。そんな昔から残っていると知ると食べるのがより楽しくなりそうです。
そうだと思います。当店でもお客様により美味しく味わっていただくために、食材や料理に込められた想い、生産者さんのお話をお伝えしています。でもこの外内島きゅうり、現在はとても生産者さんが少ないんです。一時期は本当に廃れかけた時期もあったんですよ。
  
ーーここまで伝統があるお野菜なのに…
日持ちもせず、病気に弱いことから育てるのが難しいんです。そのために生産をやめようとする生産者さんが多くて…。それを当店のオーナー、奥田シェフが「これまで守ってきたのだから」と引き留めて、今でも生産していただいているんです。ほかの在来作物もそうです。当店は生産者さんと直接お話をして想いを聞いて、食材として使わせていただいてるんですよ。

ーー本当に奥田シェフとアルケッチァーノによって外内島きゅうりなどの在来作物が守られていると言っても過言ではないですね。お二人的には今後在来作物にはどうなってほしいですか?
そうですね。たくさん生産しなくともいいので、きちんと残っていって欲しい思っています。長い間守られてきたものですので、生産者の方の気持ちを大事にしながら守っていきたいです。

いざ、実食!!〜外内島きゅうりのフェデリーニ〜

と、インタビューがひと段落したところで、「こちらどうぞ食べてみてください」と差し出されたのは「外内島きゅうりのフェデリーニ」

フェデリーニというパスタに賽の目状に切った外内島きゅうりを合わせ、オリーブオイルと塩、青唐辛子で味付けしたシンプルな一品。想像以上に「ザ・高級イタリアン」な見た目にビビりつつも口に運びます。
パスタという料理ではあまり感じたことのないパリポリとした食感と、塩気と、苦味。苦味の系統としてはゴーヤに近いのですが、苦いはずなのについもう一口とクセになってしまうような美味しさを感じます。ほろ苦さの裏にうっすら甘みがあって、今までに食べたことのない味でした。
この料理はシンプルであるが故にごまかしが効かず、たくさんの工夫を重ねているのだそう。だしを吸いやすいパスタを選び、ぷりっとした茹で上がりにするために高い塩分濃度で茹で、どの塩を使うか、どのオリーブオイルを使うか…。切り方できゅうりの美味しさが変わるため、切り方までこだわって調理された一品。
本来、外内島きゅうりは生では苦味が強すぎて食べるのが難しい食材です。その独特な苦味を美味しく活かすためにいくつもの試行錯誤を重ねて完成したメニューが今回いただいた外内島きゅうりのフェデリーニなのだそうです。私がこの苦味を「おいしい」と感じることができたのもオーナーやシェフの努力の上にあるものだと思うと、より味わって食べたくなりました。

オマケ・おうちで「外内島きゅうりのフェデリーニ」を再現してみたかった!

なんと帰り際、お土産に外内島きゅうりをいただきました!

大事に家に持ち帰り、お店で食べたフェデリーニを再現して記事にしようと思っていたのですが

翌日、外内島きゅうりは母の手によってチャンプルーとして食卓に並べられてしまいました。シャキシャキ感は残っていたのですが、完全に熱を通してしまうと完全に苦味が消えてしまうようで物足りない味です。改めて、あの苦味を美味しく生かしていたアル・ケッチァーノさんの凄さを思い知らされた瞬間でした。

さいごに

いかがでしたでしょうか?外内島きゅうりに限らず在来作物は庄内の歴史や文化を背負った宝物のような存在です。見た目やおいしさだけじゃない、魅力たっぷりの在来作物、お近くのスーパーや産直で見かけたら手にとってみては?

取材にご協力いただいた最高のレストラン、アル・ケッチァーノさんについてはこちら

メニュー名に作物を提供してくれた生産者さんの名前が刻まれていたり、シェフが生産者さんと一緒に収穫をしたりと、本当に生産者さんの想いを大切になさっているレストランでした。おいしいだけではなく、生産者さんの想いまで味わうことができるレストラン、アル・ケッチァーノさんにぜひ行ってみてください!私もいつかお金を貯めて、フルコースを食べにいきたいと思っています!

RELATED ARTICLES

  • 該当する記事がありません。

この記事をシェア!
Page Top