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にもがーるずの田中 亜実です!山形の歴史に触れてみたい、山形の郷土料理をお店で味わってみたい。そんな人にオススメなのがここ、東根城旧城下町の梅ヶ枝清水(めがすず)という郷土料理店。
今回はこの街の歴史と梅ヶ枝清水の魅力を探り、歴史ある文化が生んだとっておきのおもてなしをご紹介します。
古豪の郷・東根城旧城下町と梅ヶ枝清水の歴史を辿る
今から650年ほど前、ここ東根に東根城が築かれました。東根城旧城下町であり当時の面影を残すこの辺りの地域は古豪の郷と呼ばれ、今でも数多くの史跡や名残の建物や風景が残っています。
東根城本丸の跡は東根市立東根小学校の校地となっています。小学校の脇には樹齢1500年を超える欅がそびえ立っており、「東根の大けやき」と呼ばれ国の特別天然記念物に指定されています。
そんな歴史あるこの地域で、地元に伝わる家庭料理を多くの人に提供しようと、蔵座敷を改装し郷土料理店として梅ヶ枝清水というお店がオープンしています。
梅ヶ枝清水の梅ヶ枝は東根城のお姫様の名前、そして清水はお店の敷地内を含めこの地域に流れる綺麗な水のことを指します。
まだ東根城がこの地域にあった昔のこと、東根城当主である殿が近くの山に鷹の巣があると聞き家来と共に取りに行ったところ、誤って岩から落ちて亡くなってしまいました。当主の奥方はあまりの悲しみに泉に身を投げて、殿の後を追ったとされています。奥方の名前が梅ヶ枝であったことから、その泉は梅ヶ枝清水と呼ばれ、今に語り継がれてます。
梅ヶ枝清水の外観はまさに「立派なお屋敷」。東根城があった昔の時代にタイムスリップしたかのような、ワクワク感が湧き上がってきます。
気になる店内と座敷童
店内に入ると、田舎のおばあちゃんの大きな家に来たかのような空間が広がります。玄関から入って右側は居間のような場所になります。ここにはテーブルに東根城周辺地域の昔の地図があったり、囲炉裏があったりと昔ながらの雰囲気を味わう事ができます。特に古地図はとても貴重なもので、今のこの辺りの道路や建物と見比べながら町散策もまた楽しそうだなと感じました。
そこの一番奥にある座敷部屋。そこは座敷童がいる部屋なんだそうです。
梅ヶ枝清水の店主である横尾 千代乃(よこお ちよの)さんによると、ミスや失敗があった時に自然と乗り越えられるような不思議なことがあり、そのことを色んな人に話したところ「座敷童のおかげだよ!」と言われたそうです。そこで暗視カメラなどの特殊なカメラで座敷部屋を撮影したところ、誰もいないのに何かが動く気配があったり、オーブのようなものが発生したりしたそうです。
座敷部屋に入る時には「こんにちは」と座敷童に挨拶をしてから部屋に入ります。
部屋には日本人形、ぬいぐるみ、子供の着物、絵巻、おもちゃなどがあり、子供の遊び場のような空間でした。誰かがいるような、いないような、不思議な雰囲気を感じ取る事ができます。中にはここに訪れた座敷童のファンの方が座敷童へメッセージを記録しているメモもありました。遠方から訪れていてそのことを座敷童に向けて書いていたり、「お久しぶりです!座敷童ちゃんは私のことを覚えているかな?」といったメッセージがあったり、ここに来た色んな人が座敷童に対して愛着を持っていてこの心地よい空間を作り出しているんだなあ、としみじみと思いました。
座敷童は心が清らかな人に近づき、相性が合うとその人についてくるそうです!ぜひ一度、梅ヶ枝清水の座敷童にご挨拶に行ってみてはいかがでしょうか?
梅ヶ枝清水の煌びやかな御膳に癒されて
この日は梅ヶ枝清水で提供されている「大けやき麩そばセット」と「お姫様膳」をいただきました。
お姫様膳は山形の郷土料理である芋煮、お手製のごぼうと人参の昆布巻き、茄子の味噌あえ、お漬物、麩そば、くるみおこわ、山形のだしの冷奴、野菜の天ぷら、トマトの甘酢漬け…などなど、美味しいお料理満点の豪華な御膳となっています。
見た目も華やかでとても美味しそうで…!取材班の私たちは「わあー!」と目をキラキラとさせていました。笑
横尾さんの「お野菜や季節のものを使った田舎料理の良さをもっと多くの人に知ってもらいたい」という思いが込められており、ヘルシーで素朴で丁寧な味わいなのに身体の奥まで染み渡るような素材そのものの美味しさを堪能できるお料理となっています。
実際に食べてみて特に美味しくて驚きだったのが、麩そばと昆布巻きです。
麩そばを付け合わせのつゆに入れてズルッとすすると、そばの香りと甘みが一気に口の中に広がります。麩が練り込まれているからなのか、口溶けがとても柔らかくするりと入っていきます。お蕎麦の甘みをここまで感じたことは初めてで、お蕎麦の魅力を再発見しました!
昆布巻きはニシンなどの魚を昆布で巻いて煮るのが一般的ですが、ごぼうと人参が入っている昆布巻きは野菜の味が際立っていて、お子さんでも食べやすいものとなっています。人参のほのかな甘みとごぼうの柔らかさと昆布の香りが口の中でマッチして、とっても美味しかったです。
人参・ごぼうは子供たちにとって、野菜の中でも苦手な種類に入りそうですが、この昆布巻きはとても甘く、人参・ごぼうの苦みを感じませんでした。小学校の給食で出てきたら、大人気のメニューになりそうな気がします!
今回いただいたお料理のお値段は…
・お姫様膳 2,200円
・大けやき麩そばセット 1,100円
・お姫様膳 2,200円
でした。お手頃な価格でこんなに美味しくて、こんなに山形の郷土料理を食べることができる素敵なお店があるなんて…!とても貴重な体験をさせていただきました!
さいごに
さすが東根城の旧城下町、梅ヶ枝清水の店内も外観もそうですが、街の景観も昔の時代を思わせるような、タイムスリップしたような感覚になりました。他にもこの周辺には養源寺というお寺や、粕食らい地蔵というお地蔵様、さらには資料館など様々な魅力溢れるスポットが存在します。
街歩きをして魅力を堪能した後にはぜひ、こちらの梅ヶ枝清水で山形県の郷土料理を味わってみてはいかがでしょうか?