12STYLES
管理栄養士:野木 桃子さん

おばあちゃん見習い
山形の食文化と
高齢者の知恵を後世に残したい
野木 桃子
管理栄養士
野山の食堂 代表(大江町)
村山地域


Life
二児の母
山間地域で暮らす
学生時代の野木さんは、社会人との交流や国内外の旅を通して世界を広げ、心が動くことには迷わず飛び込んできました。都会の多彩な文化やにぎやかな刺激、海外に広がる風景や新しい発見も確かに魅力的です。けれど、暮らすならやっぱり地方がいい─そう思うようになったといいます。
「山形は母となった自分を包み込み、育んでくれた大切な第二の故郷」。澄んだ空気や広々とした自然、四季折々の美しい景色、地域の人々とのあたたかなつながり─。野木さんは、この土地ならではの交流や暮らしの楽しさを、こどもたちにも知ってほしい、そして、未来へ受け継いでいきたいと考えています。


Work
管理栄養士/野山の食堂 代表
山形の食を伝える場づくりに寄与する
大学卒業後、福島で栄養士として働きはじめた野木さん。高齢者施設で耳にした「昔の味が食べたい」というひと言に心を動かされ、郷土料理の奥深さと温もりに惹かれていきます。やがて大江町の地域おこし協力隊として、食を通じた活動に歩みを進めました。
現在は、自ら立ち上げた事業で、地元の豊かな食材を活かした料理を受け継いでいます。農家さんやお年寄りから受け継いだ知恵や食べ方を大切にしながら、施設やイベントの場で「ふるさとの味」を届ける日々。そこには、味覚だけでなく、記憶や思い出、心の温もりまでもが込められています。いつかは「おばあちゃんの林間学校」のように、山形の暮らしを楽しむ知恵がいっぱい詰まった居場所をつくりたい─野木さんの目には、食と暮らしがつながる未来が映っています。


Q. 現在の仕事内容と魅力について教えてください。
飲食業で、いくつかの仕事を掛け持ちしています。大江町のコミュニティスペースでの料理提供や、施設・個人からの依頼での献立作成やお弁当作り、自宅での海外旅行者向け料理提供などです。二児の母なので、こどもを見ながらできる仕事に絞って取り組んでいます。この仕事の魅力は、山形の食文化に触れられること。農家さんや地元の方から教わったレシピをもとに、一つずつ丁寧に作る時間がとても楽しいです。料理を通して地域の味や文化を伝えられることに、毎回喜びを感じています。


Q. 山形(大江町)ならではの暮らしについて教えてください。
自宅にこどもたちの友達を集めて、芋煮会やクリスマスパーティを開いたり、チューブ滑りを楽しむことがあります。夫が林業を営んでいるので、木材で工作したりすることも多いです。基本的には遠出せず、家の中や庭での活動が中心。こどもたちには、こうした暮らしを通して、山形の魅力を身近に感じてもらえたらうれしいです。
Q. これからの目標について教えてください。
現在のライフスタイルを大きく変えないで生活できたらいいなと思っています。ただ、こどもが小さいため自分の時間が取れず、やりたいことを後回しにしてしまうことが多いので自分のことも大切にしたいです。将来的には心安らぐ居場所作りのほかにも、高齢者から知恵を聞き、保存食などの技術を集めて未来に残す取組みにも挑戦したいです。




Message
進学や就職など、さまざまな選択の場面が訪れると思います。大切なのは「今の興味」だけにとらわれず、これからの経験によって広がる自分の可能性を信じること。部活や勉強、アルバイト、ボランティアなど、気になることにどんどん挑戦してみてください。人生の中で興味や関心は変化していきます。だからこそ今は、幅広く体験することを大切にしてほしいです。
野山の食堂
