12STYLES
陶芸家:川和田 宗太郎さん

自然の景色を写す器をつくる陶芸家
「楽しんだもん勝ち」。
陶芸から広がるローカルイノベーション
川和田 宗太郎
陶芸家
カムロ窯(最上町)
最上地域


Life
釣りのある暮らし
地域おこし協力隊から定住
卒業後も陶芸を続ける選択肢の中で、最上町に窯のある空き工房を紹介してもらい、地域おこし協力隊に就任。自分のミッションと陶芸の活動を続けていくうちに、地域の人々とのつながりや、恵まれた自然環境に愛着を抱き、そのままここに暮らすことを決めました。「川で釣った魚や採れたての山菜を、自分の作った器に盛って朝食にする―そんな日々を楽しんでいます。好きなことをして暮らすのは幸せですよね」。自然の中で過ごす時間は暮らしの豊かさとなり、山形での生活を一層特別なものにしているといいます。


Work
陶芸家/カムロ窯
素朴で温かい風合いの「粉引き」技法
中高生時代、当初はバスケットボール部に所属し、東北大会にも出場するほど打ち込んでいた川和田さん。しかしプロへの道の厳しさを感じ、手先の器用さを生かして美術部へ転部。そこで出会った陶芸に夢中になり、美術大学へ進学を決意します。卒業後は陶芸を続けられる環境を求め、最上町の地域おこし協力隊としてカムロ窯を立ち上げました。「お客様から直接“ありがとう”と感謝の言葉をもらえる瞬間は、何度味わっても特別です。最上町の自然と人の温かさを映す風合いの作品をつくり、地域とともに歩む陶芸家として、今も挑戦を重ねています」と話します。


Q. 現在の仕事の魅力は何ですか?
一番は「時間を自由に使えること」です。会社のように出勤・退勤時間が決まっていないので、朝は釣りや山菜採りに出かけ、その後から工房で制作といった生活が可能です。土作りから器になるまで全工程を自分で手掛けられるのも魅力で、直接イベントやマルシェで販売するからこそ「この器、毎日使っています」とSNSや対面で感想をもらえる喜びがあります。


Q. 山形での暮らしの魅力は?
仙台で育った自分にとって、現在の最上町での暮らしは山や川がすぐそばにある特別な環境です。少し歩けばわらびや山菜が採れ、渓流にはヤマメやウグイが泳いでいて、釣った魚を焼いて食べたりします。冬は雪が2メートル以上積もりますが、スキーや雪遊びも楽しみの一つ。どんなことも楽しみながら生活しています。仕事と暮らしの境目をつくらず、半々で楽しむことが自分のスタイルです。
Q. 今後の目標は何ですか?
まずは今の暮らしを大切に続けること。そして、若い人が「戻ってきたい」と思える地域をつくることです。人口減少でこのままでは町が維持できない可能性がありますが、地域おこし協力隊で得た経験を活かし、工房を拠点とした陶芸と自然の魅力を発信していきたいです。「陶芸といえばこの工房」と地域内外で認知される存在になり、ものづくりを通じて人が集まる場をつくっていくのが理想です。




Message
人生の中で一番元気で活発な時期にある高校生や大学生には、勉強だけでなく、やりたいことに全力で取り組み、いろいろな挑戦を重ねてほしいと思います。怖がらずに自ら行動し、挑戦を重ねることで、トライアンドエラーを恐れない人になれるはずです。自分を知るきっかけにもなるので、ぜひ全力で挑戦してみてください!
カムロ窯
Instagram:@kamurogama
